しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
卒業
青く晴れ渡った、少し肌寒い日。
今日は、多分一生忘れられない日になると思う。
“第56回卒業式”
体育館前に立て掛けられた看板。
胸に花を飾った卒業生が、入場の準備をしていた。
今日、壮吾は卒業する。
もう廊下ですれ違うこともなくなるし。
たまたま壮吾の横顔を発見。なんてことも、なくなる。
寂しい……
だけど、正直、まだ実感がわかない。
壮吾がいなくなるって、どういうことなのか。
全く壮吾を見れなくなるって、どんなに辛いことなのか。
卒業の日を迎えても、まだ、私にはその感覚がわからなかった。
別れても、常にコウ先輩から壮吾の情報を聞いていたから、なおさらだ。
体育館前の3年生の山から、目をそらした。
壮吾の姿を見たくなくて。
実感がわかないなら、わかないままでいい。
確実に涙が出るって、わかってるから。