しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~


行っちゃ嫌だよ。

卒業しないでよ。


私のクラスに来なくてもいいから、ずっとこの学校にいてよ。


後ろ姿でもいいから、私に壮吾を見つける楽しみを頂戴よ。


ごめん――…


こんなんじゃダメなんだってわかってる。


卒業を祝えなくてごめん。


ダメだ。

どんどん、大きくなってる。

壮吾を大好きな気持ち。



――…ッ!!!


涙を、堪えきれなかった。

式の最中なのに、嗚咽がこぼれる。


「柊 壮吾」

「はいっ」


卒業証書授与で、壮吾の名前が呼ばれた。


大きく、しっかりとした壮吾の声が、体育館中に響き渡る。


私の座ってる席から、壮吾の背中が見えた。


大きいな。


私は、何度壮吾の背中を見てきただろう。


ピンと張ってるとき。

猫背になってるとき。

あくびをしているとき。

右に傾いてるとき。


何度、あの腕に抱かれただろう。


温かくて、安心できて。


また、抱きしめてもらいたい。


『泣くな』って、無邪気な笑顔で頭を撫でてもらいたい。


欲だけが、どんどん膨らんでいっちゃう。


壮吾……



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