しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
普通なら長く感じる、2時間という時間。
あっという間で、もっと校長に長く話してほしいと感じるほどだった。
だって。
今、壮吾は私と同じ空間にいる。
同じ環境にいて、同じものを見ている。
壮吾との共通点って、こういう時くらいしか持てないから。
だから。
もっと、もっと。
時間、ゆっくり過ぎてほしかった。
『卒業生退場』
アナウンスと同時に、また吹奏楽部の演奏が始まった。
拍手に送られ、卒業生が退場していく。
あ――。
壮吾だ。
だるそうに、向こうから歩いてくる壮吾。
入場のときのように照れる様子はなかったけど、やっぱり、右肩が少し傾いていた。
壮吾が、行っちゃう。
体育館から、校舎から、学校から。
壮吾の姿が消えちゃう。
本当に、手の届かないところに行っちゃう。
「壮吾っ!!」