しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
我慢しようと思ったけど、今日だけは無理だった。
在校生はまだ体育館の中なのに、壮吾が体育館から出た瞬間、私は走り出してた。
式はまだ終わっていないのに。
マナー違反だってわかってる。
だけど、今日だけは許して。
「壮吾っ!!」
卒業生の山の中でも、簡単に壮吾の背中を見つけることができた。
2回名前を呼んだところで、壮吾がくるりと振り返る。
当然、私の大声に周りが注目した。
先輩だらけの輪の中に、1人で飛び込んだ私。
どんなに冷たい目で見られても、後悔なんてなかった。
「……美羽」
ああ――。
壮吾の声だ。
聞きたくて聞きたくて、ずっと我慢していた、私の大好きな声だ。
「泣いたのか」
「……泣いてなんかない」
「嘘つけ」