しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
「この町に、残るから」
「うん」
また沈黙。
「美羽」
名前を呼ばれた瞬間、今度はグイっと腕を引かれた。
すぐに、トクトクと温かな心音に包まれた。
「美羽」
耳元で、壮吾の声。
壮吾の、匂い。
壮吾の、温もり。
あの頃と、何一つ変わっていない、温かさだった。
ギュッと、強く抱きしめられる。
もう、ダメだ。
声を出さずには、いられなかった。
「壮吾〜」
子供のように声をあげて泣いた。
「壮吾、好きだよ。めっちゃ好きだよ。 壮吾と別れてから、どんどん気持ちが膨らんでいって、抑えられないよ。好きすぎて、どうにかなっちゃいそうだよ」
私がしゃくりあげながら言うと、壮吾の腕の力がグッと強くなった。
「やっと、抱きしめてもらえた。やっと素直に、壮吾の前で泣けた。私、頑張ったでしょ」
うんうん。 と、壮吾が何度も私の肩で頷いた。
「お願い、もっと強く抱きしめて。もっともっと、壮吾をちょうだい」
ギューっと、壮吾が抱きしめてくれる。
息苦しさなんて関係ない。
今だけは、壮吾を感じていたかった。
壮吾の温もりを、ずっと忘れないように。