しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
一歩
好きな人いる?
と、聞かれたら、私は迷わず『壮吾』と答えるだろう。
「えー!? 先輩、好きな人いたんですか?」
「いるよ、好きな人くらい」
「まぁ、そうですよねー。だから、昨日の告白も断ったんですよねー」
「ちょっと、それは言わないって約束でしょ?」
「でもでも、その“壮吾”さんとはどうなったんですか?付き合ったりしなかったんですか?」
「え?」
「聞きたい聞きたい、先輩の恋バナ」
壮吾が卒業して、もうすぐ5カ月。
2年に進級して、日和はバレー部に入部した。
『体を動かさないとどんどんなまっちゃう』
そう言って始めた部活だったけど、さすが日和。
持ち前の運動神経のよさで、途中入部だというのに、もう試合に出れるだけの才能を発揮していた。
私は、そんな日和の姿をいつも放課後体育館に見に行っている。
そこで仲良くなったのが、バレー部の1年生マネージャーだ。
体育館の入り口に私
が立つと、すぐにパタパタ走ってきて、今みたいにおしゃべりをしていた。
壮吾が卒業してから、壮吾の名前を出すのは初めてだった。
久しぶりに壮吾の名前を出したというのに、やっぱり、心臓がうるさいくらいに高鳴った。
まだまだ、大好きなんだな。
壮吾のこと。
次の恋への一歩を踏み出すには、まだ時間がかかりそうだ。