しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
あの頃に戻りたいか、と聞かれたら、躊躇してしまう。
もう、あんなに辛い事は経験したくないから。
けれど。なぜか、何度もアルバムを開いてしまうんだ。
忘れようとしているのに、結局はこうして探している。
大好きだった人を...。
机の上で携帯が鳴ったのは、頭を振って、過去の想いを振り払った時だった。
ディスプレイに表示されたのは、知らない番号。
通話ボタンを押すと、受話器の向こうから、微かに波の音が聞こえてきた。
「もしもし……」
恐る恐る声を出す。
『もしもし――』
返ってきたのは、波音に消えてしまいそうな、小さな声だった。