黒猫-私の部下-
三年前の事件
僕は今、書類倉庫での仕事を終え、帰る支度をしていた。
「お疲れぇ」
帰って行く同僚に手を振る。
いつもの事だ。
僕の名は伊井田翔(イイダカケル)。
港区警視庁捜査一課の刑事だ。
ここの努めて三年になる。
昔は優秀で有名な女刑事、天宮亜理紗(アマミヤアリサ)がパートナーであった。
でも今はフリー。
もうここに天宮は居ないのだ。
今は、、、刑務所の中。
鑑識の徳井和彦(トクイカズヒコ)と共に。
僕はあの日の事を昨日の事の様に鮮明に覚えている。
3年前__。
黒猫事件を担当していた僕は現場である被害者の住む豪邸にパートナーであった天宮と共に居た。
真実を知った僕は床に尻餅をついていた。
黒猫である天宮に刃物を向けられていたのだ。
でもそれを止めたのが部下である徳井だった。
徳井は僕の前にしゃがみ込んで、
『あんまり手は汚したくないんだ。でもバラしたら命は無いからな』
睨んでそう言った。
僕は悩んだ。
このまま黒猫と部下を逮捕するか?
相手は二人、失敗すれば命は無い。
それとも命惜しさにこのまま見逃すか?