黒猫-私の部下-
俺の手の中で首の骨が砕けるのが判った。
「う゛ぅっ、、、」
彼女は最後の呻き声をあげる。
彼女の命はこの世から消滅した。
俺はそっと彼女の首から手を離す。
立ち上がり彼女を見下ろす。
股間は既に尿で濡れている。
命を無くし、ぐったりとした彼女は目を見開き、口からは充血した舌がでろりと出ていた。
見開かれた眼球からは光が無い。
でもそんな目で俺を睨んでいる様に見えた。
俺は初めてこの手で人を殺した。
あってはならない事実。
震える手の平を見る。
その時初めて両手首に傷がある事を知った。
森岡春奈が生前、最後の抵抗として爪を立てた傷だ。
黒い手袋を填めた手をひっくり返す。
どちらの手首にも爪の傷が付いていた。
どの傷口からも真っ赤な血が流れている。
思った以上に傷は深いようだ。
傷口を見た瞬間、体の至る所に強烈な痛みを感じた。
帰ろう、あまり長居はしたくない。