黒猫-私の部下-
心
白河愛美は背が高く、社長の背を越している。
髪が長く後ろで縛っている。
綺麗な栗色。
そして僕が盗む緑のモノは白河愛美の首にぶら下がっていた。
現場で見つけやすいが、盗みにくい。
それにしても、どうして殺すのと盗むのを分けるのか。
僕には天宮の考えている事が理解できない。
任務を分割すれば、それだけリスクが高くなる。
「なぁ、、、司、、」
僕は視線を天井に向けたまま話しかけた。
「ん?」
司も上を向いているのか、声が遠く感じた。
僕は司に視線を移した。
やはり司は上を向いていた。
「明日、一緒に行ってもいいか?」
「ん~・・・心死ぬよ?」
「、、、心が?」
「人を殺して俺の心は死んだ。最終的に4人を殺せば俺の心は完全に消滅して、ただの殺人鬼になる。・・・そうなりそうな自分が怖い」
司は天井を見詰めながら、静かに忠告した。
僕に視線を移すと、
「翔もそうなっていいなら来れば?俺はオススメしないけど」
司は切ない表情を浮かべる。
「お前まで心が死んだら、俺等普通でいられなくなるよ・・・」
そっと言葉を添える。
そんな事を言われると行くと言えない。
「じゃぁ、、、止めとくゎ」
「そうした方がいいよ」
司が優しく微笑んだ。