黒猫-私の部下-
2月5日
只今、白河愛美の自宅マンションのベランダを見張り中。
部屋に灯りが点いたのを確認してマンションに進入。
白河愛美の部屋は716号室。
七階まで一気に駆け上がる。
七階に着き、716号室を探す。
714・・・715・・・716・・・見つけた。
俺はズボンのポケットから合い鍵を取り出す。
この鍵は昨夜、和彦から届いた物だ。
その鍵を穴に差し込みグルリと回す。
カチャッと鍵の開く音。
堂々と扉を開けて中に入る。
堂々と入れる理由、それは左手に握るナイフ。
これも昨夜、鍵と一緒に届いた物。
部屋に入って白河愛美が犯した罪が解った。
、、、薬物だ。
部屋には薬を炙った煙と臭いが充満していた。
呼吸をすると鼻から煙が入ってくる。
なるべく体に取り込まないように、体を屈め口と鼻を押さえて部屋の奥に進む。
まるで小学生の避難訓練の様に。
左右に体が揺れる白河愛美はソファーに座っていた。
薬の所為で既におかしくなっている。
それに俺が不法侵入した事すら気付いていない。
顔は此方を向いているが、目は俺を通り越して何処か遠くを見ている。
こんな状態ならナイフなんて要らなかったと思う。