黒猫-私の部下-

今回は自殺と見せかけよう。

こんな事考えるのは俺の心が死んでいっている証拠。

でも躊躇っている俺がいる。

それは完全に心が死んでいない証拠。

完全に心が死んだら何の躊躇いも無く、人の命を奪う人間になってしまうだろう。



ゆっくりと白河愛美の背後に回り、彼女の左手首を握る。

やはり何の抵抗も無い。

俺は彼女の左手首にナイフを当て、少し躊躇ったあと、一気に横にスライドさせた。

傷口からは、噴水の様に真っ赤な血液が噴出し始めた。

彼女の首が動き、明らかに傷口を見ている。

彼女は右手で噴き出す血に触れる。

「あぁぁ!!・・・あわゎぁわゎゎ!!」

この時、初めて白河愛美の声を聞いた。

彼女は頭を掻き毟り、体を震わせながらヒステリックに声をあげた。

焦った俺は彼女の腹にナイフを突き立て、右にスライドさせ、ナイフを上に上げた。

これは切腹と同じ。

大きな傷口からは真っ赤な滝が流れ始め、口から大量の血液を吐き出した。

吐き出した血液は彼女の胸元を赤く染めた。

彼女はぐったりとしている。

彼女の体はピクピクと痙攣していたが、しばらくするとその動きは完全に停止した。

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