黒猫-私の部下-

右手首の脈を測り、死亡確認。

勿論死んでいる。

これで俺の任務は終了。

彼女を正面から眺める。

腹部から流れ出した真っ赤な血液が足を伝い、フローリングの床に大きな血だまりを作っていた。

彼女の口からポタポタと血が垂れ、胸元のシミが広がっていく。

そんな彼女を見て、唇が上に緩む俺。

やはり俺の心は確実に死んでいっている。

もう元に戻る事はないだろう。



彼女の腹部から噴き出した血液が、彼女の膝下あたりの高さのテーブルに飛び散っている。

そのテーブル上には、アルミホイルに少量の白い粉が載っていた。

それは彼女が生前、炙っていた薬。

薬品を使って検査したわけではないが、恐らく覚せい剤。

別名スピード、エス、シャブなど。

覚せい剤を使用すると、中枢神経が興奮し、疲労が取れたように感じるが、薬が切れるとその反動で、強い疲労感や倦怠感、脱力感が襲ってくる。

繰り返し使用すれば中枢神経に異常をきたし、幻覚や妄想を伴う覚せい剤精神病になる。

大量に使用すれば死ぬこともあるのだ。

とても恐ろしい薬だ。

だがテーブルの上には他にも沢山の薬たちが散乱していた。

・・・MDMA・・・マリファナ・・・LDA・・・コカインまである。

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