黒猫-私の部下-
「ありがとうございます」
珠洲河麗子が頭を下げる。
別に彼女に好意を抱いていたわけではない。
連れて行かれては困るのだ。
今日が2月8日なのだから。
彼女はお礼がしたいと言って俺を自宅に招いた。
殺されるとも知らずに・・・。
彼女はとても料理が上手くて、味も美味い。
彼女が作ってくれた料理を一緒に食べながらワインを飲む。
会話が弾み、気付けば約束に時間が近づいていた。
彼女が席を立っている間に俺は作戦を実行した。
それは彼女のワイングラスの中に粉末状の薬を入れるだけ。
彼女はワインのつまみにチーズを皿に盛って持って戻って来た。
ソファーに座るなりワインを一気に飲み干した。
「あ~」
とか言いながら赤ワインの香りのする息を吐く。
しばらくすると彼女は床に倒れた。
別に彼女は泥酔しているわけではない。
床に倒れた彼女は体に力が入らないのか、立てずに床でクネクネと動いている。
俺はその姿をワインを飲みながら眺める。
気づけば彼女は口から泡をふき体はピクピクと痙攣し始めた。
5分も経たずに痙攣は止まり、彼女の心臓の動きまでも完全に停止した。
彼女は二度と目を覚ます事は無い。
動き出す事は無い。
彼女は死んだのだ。