黒猫-私の部下-
僕の考えは全て和彦たちに読まれていたのだ。
此方がまんまと罠にハメられてしまった。
僕の負けだ。
「最後に言いたい事は?」
天宮の問いかけに死刑囚の気分になった。
殺されると判っていながらその時を待つ。
僕には解らない事が一つある。
「何故こんなに宝石を必要とする!?」
「この6つの宝石が古代ローマの財宝の鍵になるの。本はその事について綴られているゎ」
そんな事の為に人々を殺し、宝石や本を盗んでいたなんて・・・。
僕は馬鹿だ。
はじめから死ぬと解っていれば、任務を放棄して悪事なんかに手を染めなかった。
4人の命の為に、この身を捧げたのに。
涙で視界が歪む。
「お前はあの世で司と見てな」
それじゃぁ、と天宮は言う。
「さ・よ・う・な・ら」
「やめろっ!!」
それが僕の発した人生最期の言葉だった。