黒猫-私の部下-
出来立ての珈琲をソファーの間に挟まれた小さなテーブルに置く。
司と向かい合う様に自分も座った。
「手紙に何て書いてあったの?」
僕の言葉を聞いて司は鞄から黒い封筒を取り出し、僕に差し出した。
「読んでみ」
僕は封を開け、便箋の文字に目を走らせた。
文面は僕のと差ほど変わりは無いが、違う点が一つあった。
それは司の役目は『殺人』、指定された人物を殺すのだ。
人の命を、、、奪う、、。
僕はその文字を見て体が震えた。
きっと司も手紙を見た時は僕と同じ様に体が震えたんだろう。
静かに司の唇が動いた。
「俺はやらなきゃいけないんだょ、、、」
震える声で頭を抱え呟いた。
今にも何かに押しつぶされそうな司は、声を震わせながら話し続ける。
「ここに来る時、ずっと俺の後ろを黒い車が付いて来てるんだ。今も下に居るよ」
ベランダから駐車場を見下ろす。
ワイン色の車の隣に黒い車が停まっている。
運転席からサングラスをかけた男が此方を見上げている。
目が合ったので、僕はソファーに座り直す。
目の前で司は小刻みに震えていた。