黒猫-私の部下-

出来立ての珈琲をソファーの間に挟まれた小さなテーブルに置く。

司と向かい合う様に自分も座った。

「手紙に何て書いてあったの?」

僕の言葉を聞いて司は鞄から黒い封筒を取り出し、僕に差し出した。

「読んでみ」

僕は封を開け、便箋の文字に目を走らせた。

文面は僕のと差ほど変わりは無いが、違う点が一つあった。

それは司の役目は『殺人』、指定された人物を殺すのだ。

人の命を、、、奪う、、。

僕はその文字を見て体が震えた。

きっと司も手紙を見た時は僕と同じ様に体が震えたんだろう。

静かに司の唇が動いた。

「俺はやらなきゃいけないんだょ、、、」

震える声で頭を抱え呟いた。

今にも何かに押しつぶされそうな司は、声を震わせながら話し続ける。

「ここに来る時、ずっと俺の後ろを黒い車が付いて来てるんだ。今も下に居るよ」

ベランダから駐車場を見下ろす。

ワイン色の車の隣に黒い車が停まっている。

運転席からサングラスをかけた男が此方を見上げている。

目が合ったので、僕はソファーに座り直す。

目の前で司は小刻みに震えていた。

< 6 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop