黒猫-私の部下-
2月2日
俺は指定された時間に指定された場所に来ていた。
そこは高級マンションが建ち並ぶ一角。
そして俺は指定された女、森岡春奈がマンションに入って行ったのを確認して、部屋まで物陰に隠れながら跡をつけた。
漸く彼女は足を止め、521号室の扉の鍵を開け中へ入った。
その瞬間俺は走り出し、だんだん隙間が細くなっていく扉につま先を入れ、勢い良く扉を開け、俺も521号室の中に入った。
当たり前だが部屋は暗かった。
「智也君来るなら連絡してよぉ~」
森岡春奈は甘い声を出す。
驚く事に俺を誰かと勘違いしている。
でも、それはそれで好都合。
大声出されて誰か来たら翔の命も無いからな。
靴を脱ぎながら唇が緩む俺。
「あがって」
この女はいつになったら気が付くのだろう。
酔ってはいないようだが、、、。
そんな事を考えながら、暗い廊下を通り部屋に入る。
彼女は壁に付いている照明のスイッチに手を伸ばした。
俺は咄嗟に走り出し、彼女をフローリングの床に押し倒した。
今にも折れそうなぐらい細い首に両手で掴みかかった。