終止符。
「あ、ここ曲がってすぐだから」

学校で禁止されている歓楽街へ足を踏み入れてすぐ、男は言った。

男が指さす方には決して新しくはない、いかにもといった建物があった。

雨染みでくすんだ白い壁、凹んだ看板…下品な電光掲示板が、空室有を表示している。


中に入ると、部屋の内装と値段が一覧できるパネルがあった。

選んでボタンを押してから受け付けで鍵を受け取り、エレベーターに乗り込む。

2人乗りの狭い空間。

気まずく淀んだ、生ぬるい空気。

男はそわそわと落ち着きがない様子で、髪を何度もかき回している。


1…2…3階。

エレベーターは止まり、早歩きで部屋へ駆け込んだ。


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