終止符。
玄関で靴を脱ぎ部屋に入った途端、男は私をベッドに押し倒した。


興奮し、ハァハァ言っている。

私の首すじに感じる湿気は、雨のせいか男の吐息のせいかわからない。

男の顔が近づく。

この時初めて、まともに顔を見た。

30代前半くらいの、色白で意志の弱そうな顔。

太い眉毛、厚めの唇。

そして大きく見開かれているのに空っぽな目。


何もない、どこを見ているかわからない空っぽの目…。


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