終止符。
家政婦に案内され、長い廊下を通り、私達はリビングへ通された。


「奥様、お連れしました」


奥様と呼ばれた女はソファーに腰掛け、手に持ったティーカップを置き、顔を上げた。


「伯母さま、お久しぶりです。この度は突然ご迷惑をかける事になりまして申し訳ありませんが、宜しくお願いします。」


深々と頭を下げて、精一杯の笑顔で挨拶をした。


「丁度お茶をしていた所よ。貴方も飲みなさい」


伯母は気品漂う美人だった。

が、同時に鋭い目がキツそうな印象を与えた。


「長尾、ご苦労だったわね。貴方もどう?」

「いえ、私はもう社に戻りますので」

「そう?」


長尾は何かあれば自分に連絡する様に言い残し、帰った。


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