終止符。
火葬場で煙突から出る煙を見ていた。

煙となった母さんの一部が、やたらと蒼い空に吸い込まれていく。


思い出す。

小さな頃だった。

こんないい天気の日には、公園へ連れて行ってもらった。

芝生が青々と茂った、ブランコと砂場のある公園。

一緒にブランコ乗ったね。

靴飛ばしをしたっけ?

楽しかったよ。

それからたまに不思議なおじさんが居て、パントマイムをやっていた。

話しかけてもイギリスの近衛兵みたいに決して返事をしない。

でもにっこり笑って三角の飴をくれるんだ。


「よかったわね、咲良」って母さんが微笑む。

いちごミルク味。

甘酸っぱくて、なんだか忘れられないやさしい味だった。


ねぇ、母さん。

煙になって空へ上り雲になったら、私の上に雨を降らせてよね。

私はここにいるから。

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