終止符。
「…何か知ってたらどうする?」


全てを見透かす様な、冷たく鋭い目。

これでもか、と意味深さを漂わせていた。

どうしよう?

この人は何か知っているのかもしれない。

私は手をぎゅっ、と握り答える。


「…教えて下さい」

「いいけど…」


けど?

洋輔の口元に小さな笑みが漏れる。


「あっ…」


洋輔は警戒する私の間合いに素早く入り込み、肩を抱き寄せ耳元で囁いた。



「楽しませてくれたら、教えてあげる」

「なっ」


いつもの様に冷めたトーンで左耳に告げられた言葉。

恐怖を感じずにはいられなかった。


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