終止符。
「ええ、勿論でございます」


確証を得て、少しの安堵と、また別の緊張が私を包んだ。


「…お嬢さまを12年振りに玄関でお迎えしたあの時、私はまるで夢でも見ているかの様でした」


「…え?」


「本当に、本当に嬉しかったのでございます。あんなに小さかったお嬢さまがこんなに大きく、美しくなられて…。再びお会いする事が出来るなんて、思ってもいませんでしたから…」


そう言うと徳田は私の手を握り締め、まっすぐに、私の顔を確かめる様に見つめた。

彼女の目の横に刻まれた深い皺には、涙が滲んでいる。


私には徳田の記憶は無いが、その様子から言葉に偽りが無い事を感じた。


< 62 / 116 >

この作品をシェア

pagetop