終止符。
「元々このお屋敷は、お嬢さまの曾祖父さまが建てられたものでして、藤原家を継ぐ者のみ住む事を許されていると聞いております。お嬢様のご両親は結婚して間もなく、ここへお住みになり始めました」


私はまるでおとぎ話を聞く様に、自分の記憶の抜け落ちた過去を、黙って頷きながら聞いていた。


「お2人はとても仲が良く、お嬢さまがお生まれになった時も大変喜ばれ、可愛がられていました…」


「…嘘よ。そんな事絶対にあるはずないわ!」


「…お嬢さま、私は嘘など言っておりません。どうかお聞き下さい」


悲しそうな、徳田の目が私を黙らせた。

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