終止符。
「お母さまは勿論お父さまも、忙しくともお仕事からお帰りになると1番に、お嬢さまの顔を見に行かれていました。たまの休日も、お母さまに代わりめんどうを見ていらっしゃいました。お2人は私から見る限り、本当に仲良く、そしてお嬢さまを可愛がっておられました」


「…それじゃあ、何故なの?どうして母は家を出なければならなかったの?」



この、一番聞きたかった質問に徳田は黙り込んでしまった。


「答えてよ!」


私は徳田の肩を両手で揺すり、問い詰めた。


やっとの思いで、絞り出した様な声で徳田が言う。



「お嬢さま…私の口から申し上げる事は出来ません」


やり場の無い怒りが込み上げてくる。

一体どういう事なのだ。

誰もかれもが、言う訳にはいかないなんて。

それ程までに隠す理由とは…?


「…自分で確かめます」

「…申し訳ありません」


徳田は深く頭を下げ、部屋を出ていった。

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