終止符。
「お嬢様…、私こそお会いできて良かった。心から思っております。私はいつでもここにいます。何かありましたら、お1人で悩まずにどうぞ、どうぞいらして下さい」


徳田の目から滲んだ涙は、皺に沿って横に流れていた。


それを拭いながら徳田は数本の桔梗を束ねて、私に差し出した。



「お嬢様、よろしければこちらをお持ち下さい」


「…ありがとう」


本当にありがとう。


私は心からそう思いながら部屋をあとにした。


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