終止符。
窓の上部に広がった空の下にある街や人が、ひどく小さく見えた。


「いい眺めだろう?自分が住んでいる街を、見おろすのは気持ちがいいよ。」


見くだすの間違いじゃないの?

心の中でポツリと思った。


「さぁ、座って」

「はい…」


私はベージュの、皮のソファーに腰掛けた。


「紅茶入れるよ。フォションとルピシアと216ザ・ストランドがあるけど、どれがいいかな?」

「…どれでもいいです」


どれが好みかなんて知らないから。


「じゃあ、ザ・ストランドにしよう。今日は咲良に再会出来た素敵な日だからね、ファースト・フラッシュ入りのにしようかな」


キッチンから、手際よく紅茶の準備をする音が聞こえる。

父の口から出た私の名前は、違和感という名の苛立ちだった。

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