Last Sound
「でもさ、ここに書いてあるのは『校則の改正』の場合、だろ?
部活作るのってそれに当てはまるのか?」
楽の疑問に拓馬が答える。
「先輩から聞いたんだけど、
過去に1度だけ、そういうことがあったらしい。
どうしても部活を作りたくて、だいぶ前の先輩たちが全校生徒の3分の2以上の署名を集め、生徒会にも認めさせて、無事に部活創設。」
「ちなみにその部活って…?」
「マジック研究会」
やっぱり…そう誰かが呟く。
でも、多分うちの学校に入った生徒のほとんどが疑問に思ったはずだ。
硬派でメジャーな部活しかないこの学校に
なんで『マジック研究会』?
俺も入学した頃からずっと不思議だったんだ。
でも今の拓馬の話を聞いてやっと分かった。
「よし、じゃあさっそく明日から始めよう。
朝と帰り、校門で生徒たちに片っ端から声をかけるんだ」
俺の言葉に拓馬以外の3人が頷く。
「おい、拓馬。
お前も協力しろよ」
「はあ?俺、部活あるんだけど」
「少しくらい遅れたって大丈夫だろ。
はい、というワケで拓馬も参加な」
えー、と拓馬は文句を言うがそんなの無視。
「うちの生徒は…単純計算で5クラスで40人だから、一学年、200人。
で、全部で三学年あるから全校生徒は600人。
その3分の2以上ってことは…400人以上の署名がいる。
ノルマは1人80人だ。
無理なノルマじゃないはずだ。
絶対、400人以上の署名、集めんぞ」
「了解」
全員の声が揃う。
「じゃあ明日、7時半に校門集合な」
そうして俺たちは学校をあとにした。