Last Sound
「分かってるなら…なんで」
「だってさ、俺…もう高3じゃん」
「はぁ?なんだよ、それ。
全然理由になってないと思うんだけど」
「だから、高3ってことは高校生活ラストイヤーってことだろ?
そしたらやっぱ…思い残したこと、やるしかないと思わない?」
俺にはギターを始めてからどうしても、
どうしてもやりたいことが1つあるんだよ。
「思い残したことが軽音部創設、ってことか?」
首を横に振る。
「違う。それはあくまでも思い残したことの段階の1つ」
俺がやりたいこと…それは
「秋の学祭のステージでバンド演奏する」
だってさ、めちゃくちゃカッコイイと思わない?
学校中が盛り上がっている中、
ステージでギターをかき鳴らし、
ドラムを響かせ、
ベースでベンベン言わせて、
ボーカルの歌声で学祭を湧かす。
これ、俺の憧れなんだよ。
ずっと、ずっと憧れてたんだよ。
いつかきっと、俺があのステージの上で、
って。
だからさ、高校3年なんだ。
受験が本格的に始まる前にこの夢を、現実にさせたい。
夢を夢で…終わらしたくないんだ、どうしても。