Last Sound
「なあ、エトー。
なんでエトーが顧問になれたんだ?
だいたい、今顧問してる部活はどーすんだよ?」
朝のホームルームを無事に終え、
俺たちは廊下に集まっていた。
「俺もよく分かんないんだな。
ただ、軽音部の顧問に工藤先生なってください、って言われてさ。」
「あ~それですか。
生徒会が言ったんです、軽音部の顧問にはぜひ、工藤先生を、ってね」
え?
誰だ?
全員が振り向く。
「あれ?確かキミは…生徒会室にいた、美雪ちゃん?」
「あ!名前、覚えててくれたんですか!
光栄です!波瑠斗先輩!」
振り向いた先にいたのは美雪、って子だった。
「で、今言ったのはどういうこと?」
澪が少し怪訝そうな顔で美雪ちゃんに問う。
「あの、私、知ってたんです。
工藤先生がバンドマンだ、ってこと。
だから軽音部の顧問に打ってつけだな、って思って。
会長に言ったら、会長が部活担当の先生に言ってくれたみたいで。
とりあえず、皆さんに喜んでもらえて良かったです」
最後にニコッと笑う。
「ところでキミ、なんでここにいるんだ?」
今度は楽が問う。
まあでもみんな、それは思ってただろうな。
「1つ、頼みごとがあるんです」
「頼みごと?」
「みなさんのバンドに、私をボーカルとして入れてくれないでしょうか」