Last Sound
「……ふぅ」
1曲弾き終わったところで思わず、溜め息が出てしまった。
呆れた?
…いいや、そうじゃない。
むしろその逆だ。
感動したんだ。
自分たちの奏でる音楽に。
自惚れ?
そうかもしれない。
だけど、事実、弾いていてこんなに気持ち良かったのは初めてで。
これを『感動』そう呼ばずになんて表現すればいいのか俺は、分からない。
「…やっぱ、最高だな、美雪。
酔いしれるよ、お前の歌声には。」
すっかりうちのメンバーと打ち解けた美雪に言う。
「えへへ そうですか?
嬉しいです、そんなこと言ってもらえて」
照れたように少し頬を赤くする美雪。
「最高にいい音、響かせてたな、楽」
「何言ってんだ。
俺は当たり前に弾いただけだ」
相変わらず愛想がないヤツだ。
「澪のドラムは変わらず、リズムが完ぺきだな。
1音の狂いもなかった」
「まあ、これでもコイツとの付き合いも長いからね」
澪は愛おしそうにドラムを見つめる。
澪とそのドラムの相性、最強だな。
「朝陽は前よりうまくなってたな。
練習、したのか?」
「足だけは引っ張りたくなくて」
朝陽は俯き気味に言う。
真面目なんだから、まったく。
苦笑しながら最後にエトーに視線を送る。
「エトー、俺たちの演奏、どうだった?」