Last Sound




「じゃあどうする?」

澪が何か意見を求めるように全員の顔を見渡す。



「あ、あのさ。

このバンドって波瑠斗くんの『夢』から結成されたワケじゃん?


だから『夢』っていうのを入れるのはどう?」


朝陽のその一言になるほど、と全員が頷く。


「でも『夢』って入れるの、難しくないですか?」

美雪の言葉にも頷く。



「まあ安易だけど、英語にする、とか?」


「え…ドリーム、ってこと?」


俺の言葉に露骨にイヤな顔をする澪。

だから、安易な考えだけど、って言っただろ。



「ちょっとショボイよね、ドリームって。

なんかないの?他に。」


「……トラウム」


「え?」


楽の小さな呟き。

トラウム、ってなんだ?



「…T・R・A・U・Mって書いて、トラウム。

ドイツ語で『夢』

ドリーム、よりはカッコ良くないか?」


トラウム…か。

ドイツ語で『夢』



「…決定、だな」


全員の顔を見て呟く。



いい名前じゃないか。

今日から俺たち5人は『Traum』だ。








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