Last Sound
「やけに思いきったことを試みたもんだな、波瑠斗」
俺以外の軽音部は全員、帰った。
部室に残ったのは俺とエトーだけ。
「いや、ずっと考えてたことなんだ。
トラウムは俺のバンドじゃなくて、俺たちのバンドだからさ。
作詞、勝手に俺がやるワケにはいかないだろ?」
「とか、カッコイイこと言って実は自分の詞に自信ないんだろー?」
「う、うっせーよ!」
「え?!図星?!」
エトーは腹をかかえて笑いだす。
でも仕方ないだろ。
初めて書くんだから、詞なんて。
「まあ難しいよな。
詞書くなんてさ。
俺も挑戦したことあったけど、
自分が思ってること文字にするのは簡単じゃないもんな」
ひとしきり笑い終えたエトーが呟いた。
「まあ困ったことがあったら俺に相談しろ。
作詞も作曲も、今じゃ手慣れたもんだから」
エトーは最後に自慢げに笑って部室を出て行った。
さあ、1人になったところで、
書いてみるか、詞を。