Last Sound
「……なあ、エトー」
俺たちの演奏が終わると、
目をキラキラに輝かせたバード先輩が言う。
「俺、コイツらの本気のライブ、見てみたい」
正直、どんな言葉より嬉しかった。
高校時代に最高のライブをしたバード先輩のこの言葉は、普通のヤツが聞いてもそんなに嬉しくないと思う。
だけど、俺にとっては…いや、俺たちにとっては褒め言葉のようなものだ。
「まだ、叶うか分かんないんだけどさ。
コイツら、学際のステージで演奏する予定なんだ。
だから、そのとき、絶対観に来いよ。
今よりいい演奏、見せてくれるぞ」
「マジで?!俺、絶対来るから!
仕事休んででも絶対来るから!
だから、練習、サボんなよ。
誰も抜けんなよ。
今のお前らのこのカタチが俺は好きなんだから」
バード先輩はそう言い残してエトーを引き連れ、部室を出ていく。
しばらく我を忘れていた俺たちはふっと我に返り、
「…やった、な」
俺がそう呟くと全員が最高の笑顔で頷いて。
思わず、みんなでハイタッチをしていた。