Last Sound
「キミは、大学に進学するつもりか?」
「はい、今のところは…」
これといって夢があるワケじゃない。
だけど、親も俺も大学に進めばいい、そんな考えだからな。
「では、今すぐ軽音部を作るのをやめたほうがいい」
「どうしてですか?」
「勉強に専念するためだ」
「…あの、お言葉ですが」
ずっと隣で黙っていたエトーが口を開いた。
「コイツは、そんなことを言って聞くようなヤツじゃありません」
さすがエトー。
俺のことをよく分かってるじゃないか。
「だから、好きなだけ好きなことをやらせたほうがいいと思うんです。
1つのことに熱中する力は、
軽音部のことを終わらせたら勉強に注がれると思うので」
うーん、最後の言葉はどうなるか分かんないけどな。
「工藤先生?あなたは渡辺波瑠斗の担任ですよね?
何を悠長なことを言ってるんですか?
もし、浪人、なんてことになったらどう責任をとるおつもりですか?」
「別にそれはエトー…あ、いや工藤先生の責任じゃないでしょう。
浪人の責任は俺自身にあると思いますけど」
思わず、口を挟んだ。
だって、俺の浪人の責任をエトーにとらせるのはおかしいだろ。