Last Sound
「おい!エトー!どこ行くんだよ!」
黙って部室を出ていく俺の背中に波瑠斗が叫んでいたが、振り返らなかった。
どうせ、波瑠斗が今から俺がやろうとしていることを知ったらまた、泣きそうになりながら怒るんだろうな。
『また勝手なことしやがって!』
って。
今度は
『カッコつけてんじゃねー!』
ってきっと、言われるんだろうな。
でもさ、波瑠斗。
俺、どうしようもなく嬉しいんだよ。
入学した時からお前を見ていて、
部活にも入らず、
授業も適当に受けて、
勉強も本気でやろうとはせず、
毎日つまんなさそうなお前が、
今はこうして、毎日悩んだり、笑ったり、ときには半べそかいたり。
そうやって必死に『青春』を駆け抜けてることが
俺は、どうしようもなく嬉しいんだ。
だから、俺はお前の力になりたい。
少しずつ、
だけど確実に大人に近づいている波瑠斗や、楽や澪、朝陽や美雪の手助けをしたいんだ。
それって、カッコつけてる、ってことなのか?
もし、そうだとしても、
カッコくらい…つけさせろよ。
無力な俺でもやろうと思えばできるんだぞ、
ってところ、アピールさせてくれよな。