Last Sound
「…お願いがありますっ」
勢いよく、頭を下げた。
それこそ頭が膝に当たるくらい、腰を曲げて。
「どうしたんですか!?工藤先生!
頭、上げてください」
焦る丸山先生の言葉を無視する。
「僕は…軽音部の顧問として、
どうしてもアイツらの願いを聞いてやりたいんです。
だから…お願いです。
学校祭のステージで演奏する許可を出してくださいっ!!」
校長も、丸山先生も何も言わなかった。
だから俺は頭を上げなかった。
いい返事がもらえるまで、
ずっと、こうしているつもりだった。
「…残念です、工藤先生。
あなたは優秀な先生なのに」
「…えっ!?」
思ってもみなかったその言葉に思わず、頭を上げてしまった。
「実はね、私、あなたのことをかっていたんですよ。
教師として優秀だし、人間性もすばらしい。
何より生徒からの人気が高い」
校長はそう言いながら立ちあがる。
「だからこそ、残念だ。
あんな生徒に煽られてあなたは道を踏み外した」