Last Sound
「「「「「よっしゃあー!!!」」」」」
…奇跡的に、俺たち軽音部5人の声がそろった。
朝陽までもが『よっしゃあー!』と、叫んだのかどうかわからないが、
それでもさっきまで拍手で包まれていた体育館が静寂に包まれて、そこに響いた俺たちの歓喜の声はありえないくらいに木霊した。
「渡辺波瑠斗。
なんか言いたいことは?」
丸山に言われ、慌てて立ち上がる。
「ホントに、ホントにっ!
ありがとうございますっ!!
俺たち、絶対に最高の演奏するので期待していてください!」
そう言って1度頭を下げるとゆっくり座った。
それから集会はいつも通りに終わった。
「にしても、すごかったなあ。
さっきの拍手」
拓馬が呟く。
「俺、体育館が割れるかと思った」
「それは大げさだな」
俺は笑ってみせる。
だけど、拓馬が言うのも正直、大げさじゃないかもしれない。
だって俺も本当は思ったんだから。
それくらい、拍手の音は大きくて。
『ああ、俺たち…期待されてんのかもな』
ってそう思って。
気が締まる思いだった。