Last Sound
「なぁ!カザマアサヒっているか?」
5組の入り口にたまっていた女子に声をかける。
「アサヒ?アサヒならほら、あそこにいるよ」
そう言って指をさす。
その先をたどると…
「え?女子?」
黒髪の長い頭が目に付いた。
「そうだよ?アサヒ、って男っぽい名前だけど女の子だよ」
教えてくれた女子が言う。
…なるほどな。
拓馬は俺が探してるヤツがきっと男だと思って
女を紹介するのを躊躇ってたから歯切れが悪かったのか。
まあいい。
この際女でも男でもどっちでもいい。
楽器さえできれば、性別なんて関係ないだろ。
「…ね、ちょっとごめん」
後ろから声をかける。
「え?…はい?」
振り向いた彼女はごく一般的な顔立ちでとてもギターをやっているようには見えなかった。
「あの…キミがカザマアサヒさん?」