Last Sound
「静かだなあ、ここは」
俺と拓馬がやって来たのは図書室。
屋上に行ければいいんだが、
残念ながら屋上のカギはしまっていて、入ることができないようになっているのだ。
「なんかさあ、今年の波瑠斗は忙しそうだったなあ」
「忙しそう、じゃなくて忙しかったんだよ」
俺の言葉に拓馬は笑う。
「俺、ずっとお前と同じクラスだったワケじゃん?
でさ、俺はいつも部活で忙しいのに波瑠斗、暇そうでうらやましかったんだ。
だけどちょっともったいねーな、って思ってた」
「もったいない?」
「そう。
だって、高校生って多分、1番楽しい時期じゃん?
いろんなことに挑戦できるチャンスがいっぱいある頃じゃん。
なのに波瑠斗、なんもしないでいつもぼーっとしてんだもん。」
なるほどな。
もし俺が拓馬だったらお前と同じこと、感じてたんだろうな。
「だから、お前が軽音部作る、って言ったとき俺、できるだけ協力しようと思ったんだ。
お前が何かに一生懸命になってる姿、間近で見たかったからさ」
照れたように笑う拓馬。
「なんか拓馬、俺のカノジョみたいでキモイ」
「はあ?!なんだよ!
あんだけ協力してやったのにさ!」
まあそうなんだけど。
でも照れるだろ?
そんなこと言われたら。