Last Sound
「はあ…緊張するー…!」
「なーに言ってんだよ。
まだ本番は遠いぞ」
9時を過ぎ、俺と拓馬は廊下を歩いていた。
うちのクラスはモザイク画の展示、
ということでとくに当日の仕事はない。
おかげで今日は自由にいろんな箇所を回れるのだ。
「うっせーなあ。
お前には分かんねーよ、俺のキモチなんて」
「いや!俺にだって分かる!
大事な試合前と同じだろ?」
「はあ?そのキモチ、俺が分かんねーってーの。」
ギャーギャー言いながら歩いていると
「波瑠斗、拓馬」
呼び止められる。
「よお!楽!」
後ろにいたのは楽で。
「あれ?お前のクラスって模擬店じゃなかったっけ?」
「うん、そうだけど」
「じゃあこんなところいていいのかよ?
仕事は?」
模擬店、つったらみんなで働くもんだろ?
「俺は裏方。
セットとか作ったから今日は自由」
楽はニヤッと笑う。
まあ、そうだろうな。
お前に接客なんて似合わないよ。