Last Sound
「エトーの元カノ…あ、今は彼女さん、ですか?」
照れたように笑う彼女さん。
あー…大人の女の人、サイコー…。
「え?!エトーの彼女?!
あ、初めまして、エトーの教え子の拓馬です」
「俺は…軽音部の楽です。
実はあの電話の時、波瑠斗の横にいました」
「あ、そうなの?
私、沙希、って言います。
よろしくね」
「お、おい!自己紹介しなくていいからっ!」
にしてもエトー、焦りすぎ。
もうちょっと落ち着けってーの。
「あ、そうだ。
赤ちゃん、おめでとうございます。
それと、エトーに話してすいませんでした」
頭を下げる。
もし、会える機会があったら、絶対に謝ろう。
そう決めていたのだ。
「やめてよ!いいの、全然。
むしろ、波瑠斗くんには感謝してるんだから。」
「感謝…?」
「うん。だって波瑠斗くんのおかげで今はこうして…ね?」
そう言って沙希さんは左手を見せてくれた。
左手の薬指には眩しいほどの光りを放っている婚約指輪。
なんか…すげぇー幸せそうだな。