Last Sound
「私、好きなバンドがいて、その中でもギタリストの人がすごく輝いてみえて。
私もあんなふうになりたいな、って思ったのがきっかけです」
どうしてギターを始めた理由なんて聞くんだ、
風間朝陽の顔にそう書いてある。
「バンドの中にいるギタリストはカッコ良かった?」
「はい!とっても!」
風間朝陽は満面の笑みでうなずく。
よしよし、その調子だ。
「自分もあんなふうになりたい、って思った?」
「はい!ライト浴びてギター弾いてみたい!って思いました!」
だいぶ興奮気味の風間朝陽。
いいね~
その調子だ。
「じゃあさ、それ、俺と一緒に実現させようよ」
「…え?」
「だーかーら!ライト浴びてギター弾こうよ、って」
「…でも…」
あーもうっ!
俺は自分の髪の毛をぐちゃぐちゃにして言った。
「夢を夢で終わらせるのはヤめようぜ。
高校生活最後の1年なんだ。
今、叶えられるかもしれない夢を、簡単に諦めるなよっ!!
夢は…叶えてこそ本物の『夢』になるんだぞっっ!」