Last Sound
「あ!やっと来た!
波瑠斗!お前の席、いつものとこだよ!」
ドアを開けると窓側の列の後ろから2番目の席に座っているヤツが手を挙げて俺を呼ぶ。
「お!拓馬、同じクラスだったんだ」
吉田 拓馬(ヨシダ タクマ)
俺と3年連続で同じクラス。
多分、この学校で1番仲がいい。
メガネをかけた秀才タイプ。
…に、見えるが成績はそこそこ。
どちらかと言えばスポーツマンだ。
なんせ、腹筋が6つに割れてるんだからな。
そしてこの俺。
今年高校3年。
渡辺 波瑠斗(ワタナベ ハルト)
帰宅部で趣味は音楽を聴いたり、プレイしたりすること。
漫画やドラマなんかじゃ
容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群
なーんて完璧でモテる男が主役をやっているが
そんなヤツ、この世の中にそういるワケじゃない。
この俺はどこにでもいるごく普通の高校3年生。
クラスでも目立つタイプにはいることもなく、
かと言って目立たないワケでもなく、
中途半端な立ち位置に属している。