Last Sound




「…想像以上、ってところかな」


廊下側の後ろの席に座っていた俺の背中から聞こえてきたそんな声。

慌てて振り向くと目をキラッキラッに輝かせたエトーがいた。



「エトー、それ、どういうこと?」


「ん?そのまんまの意味。

俺、今まで聞いたことなかったからさ、波瑠斗のギター。


だからアイツの腕がどんなもんなのか知らなかったんだ。

で、今聞いたら思ってたより全然、うまかった。


それになんだっけ…?朝陽ちゃん?

あの子も相当うまいよ」


エトーは腕を組んでなぜか満足そうな顔。



「なあ、波瑠斗と朝陽だったらどっちがうまいんだ?」


「そりゃあ、波瑠斗だろうな。

でも、カノンロックをほとんど完璧に弾ける彼女もそのへんのライブハウスでやってるヤツよりうまいよ。」


俺の目には両方とも同じくらいうまいように見えるけど、

やっぱり楽器経験のあるエトーにしてみればどっちがうまいのか一目瞭然なんだな。











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