Last Sound
「おい、拓馬。
外、見てみろよ」
廊下の窓を指す、エトー。
ん?どうしたんだろう。
不思議に思いながらエトーに言われたとおりに窓を見る。
すると…
「え、なんで」
なぜか帰ろうとしていた生徒たちがみな、足を止め校舎を見上げていた。
「まあ無理もないだろうな。
うちの高校でギターの音が聞こえるはずがないんだから。
それにギターがうまいときた。
当たり前に聞き惚れるよ、あの2人の音に。」
エトーはふっと笑う。
「波瑠斗の夢が叶ったら…きっと、すごいことになるんだろうな。
やっぱり、アイツを信じてよかったよ」
俺にはエトーの言ってることは全然理解できなかったけど。
でも、エトーがに喜んでいることは感じ取れた。
さあて、ここからだな。
波瑠斗の計画だと、楽がこの音を聞いてうちの教室に来るらしいけど。
楽…マジで来るんだろうか。
波瑠斗と朝陽が奏でる音を聞きながら
俺は気が気ではなくて。
ずっと、ソワソワしていた。
―Side 拓馬 終―