Last Sound
「よし、じゃあホームルーム始めるな~」
エトーが教壇に立って口を開く。
俺は右耳に入れたエトーの声を左耳に流し教室内を見回す。
やっぱ去年とメンツは変わんねーか。
ま、仕方ないよな。
高2にあがったとき、学力と文理別で分けられたクラス。
だから3年になっても持ち上がりなワケだ。
「まあ名前はご存知の通り、工藤だ。
また1年間よろしくな」
「エトーよろしく!」
このクラス1のお調子者、島原が叫ぶ。
「だから俺の名前は工藤だっつってんだろ!」
ま、こんなやり取り、いつものことだよな。
「じゃあ早速だが、進路希望の紙、配るぞー」
えー、とブーイングが起こる。
だがブーイングが起こったところで配るのが中止されるはずもなく
前から紙が回ってくる。
「将来の夢でも進学したい大学でも、目標でも、なんでもいい。
なんでもいいから白紙で出すのはやめろよー
とくに波瑠斗はちゃんと書けよ~」
「なんで名指しなんだよ!」
「波瑠斗、去年の進路希望だって白紙だったろー」
「う、うっせー…」
確かに去年は白紙だった。
文理選択だって将来の夢もない俺は得意な理系を選んだ。
けどな、エトー。
今回のこの紙はちゃんと、文字…書いてやるぞ。