Last Sound
「バカとは何事だ、楽」
振り向いた俺は思わず、ニヤッと笑ってしまう。
だって楽が来てくれたんだ。
ってことは仲間になってくれる、ってことだろ?
「バカにバカと言って何が悪い。」
相変わらずだな、コイツは。
思わず苦笑い。
チラッと朝陽を見ると案の定、俯いて目がキョロキョロと忙しく動いていた。
「あ、そうだ。
拓馬は?」
「アイツ?
アイツは俺が教室出て行ったらそのまま帰ってったよ」
「そうか。
で、なんか用があるんだろ?」
「ああ、文句言いにきた」
「文句?!?!」
なんで!なんで文句なんだよ!
今、このタイミングなら
『俺もバンドに交ぜてくれ』
が正解じゃないのかよ!
「俺のためか知んないけど、
教室でしかもあの音量で、ギター弾くな。
受験生の邪魔だ。」
「いや…でもっ!」
「人の話は最後まで聞けよ、波瑠斗」
そう言われ素直に黙って楽の次の言葉を待った。
「ただ、お前らのギターは最高だった。
だから…俺」