Last Sound
「あ…あのね、今、楽くんが言ったこと、本当なんだ。
ちょうど、澪ちゃんと同じクラスで。
その事件が起きて、もちろんすぐにそのウワサはクラスに広まった。
で、澪ちゃん、事件が起きた次の日なのに学校に来たの。
そしたら、男の子たちが
『父親に犯されたんだって?』
ってニヤニヤしながら聞くの。
でも澪ちゃん、微動だもしなくってさ。
そのあとも男の子たちは澪ちゃんを茶化すんだ。
けど、結局澪ちゃんは何もしなくってさ。
で、最後は男の子たちが怒っちゃって。
『父親が変態で母親が犯罪者の子どもは人間じゃねーな』
って言ったの。」
グッと朝陽の拳に力が入ったのがわかった。
にしてもなんてヒドイ男たちなんだ。
辰巳澪が悪いんじゃない。
むしろ、辰巳澪は被害者なのに。
「で…それで、澪ちゃん、涙ボロボロ流しながら男の子たちを睨んで学校を飛び出して行った。
それから卒業するまでずっと、不登校だったの。」
思い出したくない過去だったのだろう。
朝陽の顔は真っ青になっていた。