Last Sound
そのあと、教室に戻る俺たちの話題はやっぱりボーカルを誰にするか、ってことで。
「楽、歌えよ」
「はぁ?なんで俺なんだよ。
俺、絶対歌いたくねーし」
「なんでだよ!
いいだろ、ボーカル」
「なんでもだよ!
よくねーよ、ボーカル!」
なんてやり取りを交わす。
「じゃあ、朝陽は?
どう?歌」
「無理無理無理!
ギターで手いっぱいだし、
歌なんて恥ずかしくて…歌えないよ…」
だよな、やっぱそうだよな。
極度の人見知りをする朝陽がステージで歌えるワケないか。
ってそれって、ギター弾けるかどうかも危うい、ってことだよな?
おいおい、そこからまず問題じゃねーか。
「じゃあ、澪は?」
「あたし?パスパス。
歌とか歌えない。
ま、誰かさんと違って音痴、ってワケじゃないけどね」
俺の顔をチラッと見てニヤッと笑う澪。
くっそー!
なんで俺、音痴なんだよ…っ!!